特に調剤薬局においては、必ず配置しなければならない薬剤師。しかし、近年この専門職の人手が不足しているとも言われています。果たしてなぜそのようなことが起こるのでしょうか?対策も含め見ていきましょう。
まず、薬剤師が不足している原因としては以下のような要因があると言われています。
近年、日用品を取り扱っていることもあり、大手ドラッグストアが全国的に幅広く展開するようになりました。さらに各店舗に薬剤師が配置される傾向になったため、就職先としてそちらを選ぶ人材が増えている、というのが大きな要因のようです。
大学の薬学部が従来の4年制から、2018年より医学部同様6年制となったのも若手が減った原因のひとつだとも言われています。創薬研究者養成を目的とした4年制の学部もいまだ現存はしていますが、薬剤師の国家資格を受けるには基本的に6年の学習が必要です。
これにより専門性が高まったいっぽうで、社会に出るのが全体的に2年遅れるようになったため、薬剤師の不足に繋がったというわけですね。
薬剤師は男女比で言うと、比較的女性が多い業界としても知られています。結婚や出産での退職は現代においてはだいぶ少なくはなったと思いますが、それでも配偶者の転勤や妊娠などをきっかけに休職・退職する方は一定数いるので、どうしても長期的に働ける人が他業界に比べて少なくなる事情はあるでしょう。
地方の薬局で薬剤師が不足すると、患者の調剤待ち時間が増加し、地域住民の医療アクセスが制限される可能性があります。また、医師や看護師など他の医療従事者の業務負担も増加し、医療全体の質が低下するリスクがあります。特に過疎地では、薬局自体の存続が難しくなる場合もあり、地域医療の崩壊を招く恐れがあります。
薬剤師が不足することで、調剤や服薬指導といった重要な業務が他の職種にしわ寄せされることがあります。これにより、医療現場全体の効率が下がり、患者へのサービスの質が損なわれる事態が生じています。特に、高齢者が多い地域では、薬剤師の不足が医療チーム全体の働き方改革を遅らせる要因にもなっています。
薬剤師不足を解決する対策は、主に2つ考えられます。
調剤薬局には必ず薬剤師が在籍する必要がありますが、専門資格を持たないスタッフを採用してはいけないわけではありません。そこで、欧米において「ファーマシーテクニシャン」と呼ばれるシステムのように、医薬品のピッキング等薬剤師のサポート的な業務を担う役割を検討するのもひとつの方法です。
「対物業務から対人業務へ」という昨今の風潮もあり、まずは業務の在り方を見直すことが改善への近道だと言えるでしょう。
薬に関しては自動調剤システムや監査システムなどを利用し、その分患者さんそれぞれにきめ細かく説明等のサービスを提供する時間を確保するのも有効。人手不足解消はもちろん、ホスピタリティの向上に繋がる可能性もあります。
厚生労働省は、地域医療の強化を目的に薬剤師修学資金貸与事業を推進しています。この制度では、特定の地域で一定期間勤務することを条件に、薬学部学生へ奨学金が給付されます。また、地方自治体も薬剤師不足を解消するため、独自の奨学金制度やインターンシッププログラムを展開し、地域での就業を促進しています。
一部の大学では、薬学生を地方の医療機関に派遣するインターンシップが実施されています。これにより、学生が地域医療の現場を実際に体験し、将来的に地方での就職を検討するきっかけとなっています。また、地方薬局への魅力的なキャリアパスの提示が、長期的な人材確保に寄与しています。
薬剤師不足に直面している薬局経営者にとって、効果的な採用戦略の構築は非常に重要です。 以下では、求人広告の最適化、採用イベントの活用、オンラインプラットフォームの利用方法について詳しく解説します。
薬剤師を効果的に採用するためには、適切な求人広告媒体の選定と広告内容の最適化が不可欠です。以下のポイントを押さえて求人広告を最適化しましょう。
「薬剤師WORKER」などの専門求人サイトは、総合病院やドラッグストア、大手薬局など多様な求人情報を提供しています。 これらのサイトでは専任のアドバイザーが希望条件に合った人材を紹介してくれるため、効率的な採用活動が可能です。
自社で運営する採用特化型のWebサイトを構築し、職場環境やスタッフの声、動画コンテンツなどを充実させることで、求職者に対して薬局の魅力を効果的に伝えることができます。オウンドメディアを通じて、自社の強みや独自の働き方をアピールしましょう。
求人広告には、具体的な仕事内容や勤務条件、福利厚生などを明確に記載することが重要です。また、薬局の特徴や働きやすさを強調することで、求職者の関心を引きやすくなります。ビジュアル要素を取り入れた広告も効果的です。
採用イベントは、直接薬剤師と対話し、薬局の魅力を伝える絶好の機会です。 特にオンライン採用イベントは、地理的な制約を受けずに多くの求職者にアプローチできる手段として注目されています。
オンラインでの企業説明会や合同説明会、選考面接、内定者向け座談会などを実施することで、運営コストの削減や採用スピードの向上が期待できます。これにより、全国から幅広い人材にリーチすることが可能です。
オンライン採用イベントを成功させるためには、事前の準備が重要です。使用するツールの選定、求職者への周知、資料や動画の準備、デモンストレーションの実施などを徹底し、スムーズな運営を目指しましょう。参加者が快適にイベントに参加できるよう、技術的なサポートも準備しておくと良いでしょう。
オンラインイベントでは、チャット機能やQ&Aセッションを活用して求職者との双方向のコミュニケーションを促進します。これにより、求職者の疑問や不安を解消し、薬局への理解を深めてもらうことができます。
デジタル時代において、オンラインプラットフォームを活用した採用活動は欠かせません。以下の方法で効果的に利用しましょう。
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FacebookやLinkedInなどのソーシャルメディアを活用して、薬局の最新情報や求人情報を発信しましょう。定期的な投稿や広告キャンペーンを通じて、広範な求職者にアプローチできます。また、スタッフの日常や職場の雰囲気を紹介するコンテンツを投稿することで、求職者に親近感を持ってもらいやすくなります。
自社のウェブサイトに採用ページを設け、薬局の魅力や応募方法をわかりやすく掲載します。ブログやニュースレターで薬剤師向けの有益な情報を発信することも有効です。SEO対策を施し、検索エンジンでの上位表示を目指すことで、より多くの求職者にアクセスしてもらえます。
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オンラインプラットフォームでは、チャット機能やコメント機能を活用して求職者との双方向のコミュニケーションを促進します。 これにより、求職者の疑問や不安を迅速に解消し、薬局への理解を深めてもらうことができます。
これらのオンラインプラットフォームを活用することで、効率的かつ効果的な採用活動が可能となり、薬剤師不足の解消に繋がります。 自社の強みや魅力を最大限に活かし、求職者にとって魅力的な情報を提供することが成功の鍵となります。
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