後継者不足等の問題から、薬局の売却を検討している方もいるでしょう。そこでここでは、必要な売却手続きの流れを詳しくご紹介。仲介業者による主なサポートの内容についてもまとめてみました。
まず、調剤薬局を売却したいと考えた時どのような方法があるかを知っておきましょう。一般的には「株式譲渡」もしくは「事業譲渡」が挙げられます。
株式譲渡は「法人の経営権や資産・負債などをすべて売却すること」を指し、事業譲渡は「選別された事業の一部、もしくはすべてを売却すること」を指します。「権利や会社組織ごと譲るかどうか」が双方の違いだと考えてください。
株式譲渡と事業譲渡、どちらを選ぶ場合であっても専門的な知識が必要となるので、一般的には「仲介業者(コンサルティング会社)」と呼ばれるプロを頼ることになります。仲介会社は以下のように、売却を一貫してサポートしてくれるのが特徴です。
譲渡先の紹介も受けられるので、特に薬剤師の有無や薬機法との関連によって複雑化しやすい薬局の譲渡において経験豊富な業者を探すのがおすすめ。「事業譲渡と株式譲渡、どちらを選択すべきか?」「何から手を付けるべきか…」といった不安もしっかりフォローしてもらえます。
また、この中で「企業価値評価」とは、自社が売却されるにあたってどの程度の価値を持つかの指標。特に非上場企業の場合、自分の会社がいくらで売れるか判断しにくい部分があると思います。プロの目線で評価されることで、思った以上の価値が見いだされる可能性もあるかもしれません。
まず、仲介業者からのアドバイスも参考にしながら買い手を選定します。基本的に候補を挙げてもらえるはずなので、より自社とマッチングしそうな相手をしっかり吟味しましょう。
買い手と交渉する際には薬局の経営状況や資産などの詳細を伝える必要があるため、その情報を一切他言しないという「秘密保持契約」を結びます。また、交渉の中で双方の意志が合意した場合、仮予約のようなものとして締結されるのが「基本合意契約」です。
話し合いが上手くいったとしても、やはり実際に雰囲気を見てみなければ分からない部分もあります。そこで基本合意契約後、売り手側から申告された内容に間違いがないか買い手が現地調査を行い、情報を精査するのが一般的です。
問題なければ、そのまま「事業譲渡契約(本契約)」に至ります。ただし、これには取締役会による過半数の同意が求められるため、注意しておきましょう。
また、事業譲渡に必要な手続きとしては株主への通知や名義変更、各種契約の解約、廃業届の提出など。ちなみに株主への通知は”事業譲渡の効力発生日の20日前まで”と決まっていますから、よく確認しておかなければなりません。
許認可に関しては譲渡できないため、買い手が新たに薬局事業を始める際には改めて保健所に開設許可を申請する手続きを行います。これにて無事、薬局の売却は完了です。
少子高齢化や薬剤師不足など、業界環境が変化する中で、「薬局のM&A」という選択肢が注目されています。ただし、売却や事業承継は専門的な知識が必要であり、自分一人で判断するのは難しいことも。まずは専門のコンサルタントに相談し、自分の薬局にとって最適な道を見つけることが重要です。
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薬局の売却には、上記の流れ以外にも「不動産契約の解除(賃貸契約の場合)」や「従業員・顧客対応」、「医薬品・設備・備品などの処分」といった細々とした準備が求められます。いざという時戸惑わないよう、早めに行動しておきたいですね。
本サイトでは薬局の売却に際して、頼れる仲介業者についても詳しくまとめていますので、ぜひ併せてご覧になってみてください。
薬局M&Aにおける企業価値の評価には、主に以下の3つの手法が用いられます。これらの手法を適切に活用することで、適正な価格設定や交渉の基準を明確にすることができます。
将来的な収益やキャッシュフローを基に企業価値を算定する手法です。代表的なものとして、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)があります。DCF法では、将来の予想キャッシュフローを現在価値に割り引いて評価します。薬局の収益が安定している場合、この手法は有効な評価方法となります。
類似する企業の市場価値やM&A取引事例と比較して企業価値を算定する方法です。類似会社比準方式や類似取引比較法が該当し、過去の薬局M&Aのデータを参考に価格設定を行います。特に、同規模・同地域の薬局がどのような価格で取引されているかを分析することが重要です。
企業の純資産(資産から負債を差し引いた金額)を基準に評価する手法です。簿価純資産法や時価純資産法があります。薬局が保有する設備や不動産の価値も考慮されますが、将来の収益性を反映しにくい点がデメリットです。
薬局のM&Aでは、一般的な企業価値評価に加えて、以下の特有の要素が影響を与えます。
薬局の収益は処方箋枚数に大きく依存するため、月間・年間の処方箋取扱枚数が重要な指標となります。M&Aの際には、1枚あたりの収益性や、過去数年の処方箋枚数の推移も評価されます。
特定の医療機関(クリニックや病院)に依存している薬局は、応需先の変更によるリスクが高まるため、複数の医療機関と安定した取引を持つ薬局の方が評価は高くなります。
薬局の立地も価値を大きく左右します。門前薬局(病院・クリニックの近隣に立地)は、安定した処方箋数を期待できますが、医療機関の移転リスクも考慮する必要があります。一方、面対応薬局(地域全体を対象とする薬局)は特定の医療機関に依存しない強みがあります。
薬剤師やスタッフのスキルや継続勤務率も、薬局の評価に影響します。特に、薬剤師の確保が難しい地域では、経験豊富な薬剤師が在籍し、離職率が低い薬局の方がM&A市場での評価が高くなります。
最新の調剤機器や電子薬歴システムを導入している薬局は、業務効率が高く、長期的に競争力があるとみなされます。特に、クラウド型の電子薬歴や自動ピッキングシステムなど、最新技術を導入している薬局は評価が高まります。
薬局の財務状況も企業価値評価に直結します。M&Aの際には、純資産の状況やキャッシュフローの安定性、負債比率が重要な評価基準となります。資産から負債を差し引いた純資産がプラスであり、営業活動によるキャッシュフローが安定していることが望ましいです。また、過度な借入がなく、適切な範囲で負債が管理されている場合、財務の健全性が評価され、買い手からの関心も高まります。
薬局は、医薬品を扱うために薬機法などの法規制に従わなければなりません。M&Aの際には、保健所の開設許可の取得状況や、薬剤師の配置基準が遵守されているかが評価対象となります。また、医療機関との関係性において、違法なリベートがないかも慎重に確認されます。法規制に違反していると、買い手がリスクを負うことになるため、適正に運営されている薬局ほど企業価値が高くなります。
薬局のM&Aにおいて、より高い評価を得るためには、収益力の向上やコスト削減、適切なタイミングでの売却、M&Aの専門家への相談が有効です。経営改善を図ることで、利益率を高め、財務状況を安定させることが重要です。また、調剤報酬改定の直後や地域の医療機関の動向を見極め、M&Aの最適なタイミングを判断することも成功のカギとなります。
薬局のM&Aを成功させるためには、まずその目的を明確にすることが重要です。事業承継のためにM&Aを行うのか、それとも経営資源の強化や事業拡大を目指すのかによって、最適な戦略や交渉の方針が異なります。目的が明確でないまま進めると、適切な買い手や売却価格の設定が難しくなり、M&Aのプロセスが長引く可能性が高まります。
M&Aを行う前に、薬局の財務状況を整理し、正確な企業価値を把握することが不可欠です。最新の財務諸表を作成し、収益性や負債状況を明確にすることで、買い手に対して信頼性の高い情報を提供できます。また、事業の強みや競争優位性を示す具体的なデータを揃えることで、より有利な条件での交渉が可能になります。
M&Aには法的および税務的な手続きが伴うため、事前に必要な準備を進めておくことが重要です。契約書の確認や税務負担の予測、適切な許認可の手続きを行うことで、スムーズなプロセスを実現できます。特に、薬局の開設者が変更となる場合は、施設基準等届出や保険医療機関指定通知書の手続きが必要となるため、行政手続きを正確に進める必要があります。
薬局のM&Aには、「株式譲渡」と「事業譲渡」の2つの手法があります。株式譲渡は、法人の経営権や資産・負債をすべて売却する方法であり、売却後の手続きが比較的簡単です。一方、事業譲渡は、選択した事業の一部またはすべてを売却する方法であり、許認可や契約の引き継ぎが必要になるケースがあります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に適した方法を選択することが重要です。
M&Aを成功させるためには、信頼できる相談先を見つけることが欠かせません。業界に精通した仲介業者やコンサルタントを活用することで、適切な買い手の紹介や交渉支援、手続きのサポートを受けることができます。特に、薬局業界に特化した仲介業者は、専門的な知識とネットワークを持っており、スムーズなM&Aを実現するための強力なパートナーとなります。
M&Aを進める際には、従業員や顧客への適切な対応が求められます。経営体制の変更に伴う不安を和らげるため、従業員には事前に十分な説明を行い、処遇や待遇についての安心感を提供することが重要です。また、顧客や地域の医療機関との信頼関係を維持するため、サービスの継続性や品質向上に努める必要があります。これにより、M&A後の事業の安定性が高まり、円滑な運営が可能になります。
M&Aプロセスは、買い手の選定、交渉、契約締結、各種手続きなど、多岐にわたります。これらを円滑に進めるためには、詳細なスケジュールを策定し、各段階で必要な準備や対応を計画的に行うことが重要です。特に、許認可の取得や変更手続きには時間がかかる場合があるため、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。
薬局を閉店する際には、計画的なスケジュールを立て、関係各所との調整を行う必要があります。閉店までの流れを明確にし、事前に必要な手続きを進めることで、スムーズな撤退が可能になります。
閉店に向けたスケジュールを策定し、各ステップの期限を設定します。賃貸契約の解約手続き、在庫整理、従業員や顧客への通知など、具体的な作業を時系列で整理し、余裕を持って計画を進めます。
賃貸物件で営業している場合、契約書を確認し、貸主へ解約通知を行います。一般的に、解約希望日の3ヶ月前までに通知する必要がありますが、定期借家契約の場合は中途解約が難しい場合もあるため、契約内容をよく確認し、必要に応じて貸主と交渉を行います。
医薬品や備品の整理を行い、適切に処分します。消耗品の在庫を圧縮し、未使用の医薬品や備品は専門業者に買い取りを依頼するのが一般的です。リース品がある場合は、リース契約の解除手続きを確認し、違約金や残存リース料の支払いが発生する場合には、適切に対応します。
薬局の閉店が決まったら、従業員や顧客、医療機関、取引先に対して適切なタイミングで通知を行います。
従業員には、閉店の決定を速やかに伝え、今後の雇用や退職手続きについて説明します。解雇する場合は、労働基準法に基づき、少なくとも30日前に通知する必要があります。通知が遅れる場合は、30日分以上の解雇予告手当を支払う義務が生じるため、十分に注意が必要です。
患者には、閉店の1ヶ月前を目安に告知を開始します。早すぎる告知は患者の流出を招く可能性があるため、適切なタイミングを見極めることが重要です。特に、自立支援医療を受けている患者には、指定薬局の変更手続きが必要となるため、個別に連絡を取り、サポートを提供します。
近隣の医療機関や取引先には、閉店の2~3ヶ月前に連絡を入れます。患者からの問い合わせに対応できるよう、閉店の理由や今後の対応について説明し、協力を依頼します。
閉店に伴う各種手続きを行い、必要な届出を行政機関へ提出します。
保険薬局廃止届の提出保険薬局を廃止する場合、廃止日から30日以内に「保険薬局廃止届」を管轄の地方厚生(支)局に提出し、許可証の返納を行います。
麻薬を取り扱っている薬局は、廃止日から15日以内に「麻薬小売業者廃止届」を管轄の保健所に提出し、免許証を返納します。また、在庫がある場合は、「所有麻薬届」や「麻薬廃棄届」を提出し、適切に処分します。
高度管理医療機器販売業や毒物劇物販売業の許可を受けている場合、それぞれの廃止届を廃業日から30日以内に管轄の保健所に提出します。各種届出の期限を確認し、漏れのないよう対応します。
閉店後も、未処理の手続きや物件の原状回復など、さまざまな対応が必要になります。
未使用の医薬品や備品は、専門の業者に買い取りを依頼し、適切に処分します。開封済みや汚損のあるものは買取不可の場合が多いため、事前に業者と相談し、適切な処分方法を確認します。
賃貸物件の場合、契約内容に基づき原状回復工事が必要です。内装の撤去や解体工事を行う際には、貸主と協議のうえ、適切な方法で進めます。工事期間や費用についても事前に確認し、予算計画を立てることが重要です。
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