近年、大手ドラッグストアの展開や後継者不足などの問題から、調剤薬局を手放そうと考えている方も多いようです。
しかし、売却した場合には一般的にどの程度で売れるものなのでしょうか?ここではその相場について、詳しく確認していきましょう。
まず、調剤薬局とは何かからお話していきましょう。調剤薬局は法律上「保険薬局」と呼ばれ、調剤のみならず薬局製造販売医薬品や要指導医薬品、一般用医薬品などを利用者の方が使用する際の相談などにも応じる役目を果たします。
の2点を満たしているのも特徴です。
では、そんな調剤薬局を売却したいと考えた時どのような方法があるかというと、一般的には「株式譲渡」もしくは「事業譲渡」が挙げられます。
株式譲渡は「法人の経営権や資産・負債などをすべて売却すること」を指し、事業譲渡は「選別された事業の一部、もしくはすべてを売却すること」を指します。権利や会社組織ごと譲るかどうか、が双方の違いだと考えて良いでしょう。
調剤薬局を売却した際の相場は、基本的に「300万円~1,500万円前後※」が相場だと言われています。事例によってかなり幅が広いことが分かりますね。
なぜここまで差が出るのかといえば、売却額には「将来性や資産」が大きく関わっているから。具体的には以下のような要素によって額が決まるのが基本のようです。
営業権価格は「その企業が利益を上げる力」を示したもの。今後3〜5年間の経営状況を予測した上で価格が導き出され、経営上のリスクや伸びしろなども考慮して決定されます。
貸借対照表の棚卸資産や設備、売掛金、ソフトウエア資産などの資産を”時価”で評価し、産出された純資産を時価純資産価額と呼びます。
基本的には上記のような要素から売却額が産出されることが多いですが、この他「営業利益の1.2~1.5倍ほどが売上額になりやすい」との説も※。つまり年間営業利益が1,000万円あった場合、売却額は1,200万円~1,500万円程度になる可能性が高い、というわけですね。
こうして見ると、特に小規模の店舗を運営されている方はやはり現在の利益率や資産が重要なのか…不安にと思われるかもしれません。
しかし、薬局の魅力を決めるのは「将来性」も大きな要因。目に見えにくい長所としては、例えばどのような基準が考えられるでしょうか?
調剤薬局といえば、基本的に病院の近くにあるというイメージをお持ちではないでしょうか。実際、従来は「病院の入り口が変われば薬局の売上も変わる」と言われるほど、その相関関係は強かったと言われています。
その傾向は依然として存在しており、特に門前から更に近づいた「敷地内薬局」の需要が増加しているよう。ただし、2018年の診療報酬改定の影響もあって今後は立地がそこまで大きく重視されない可能性があるとも言われています。
地域密着型の調剤薬局として長く信頼を集めていたり、大手医療機関からの紹介が多かったり、従業員が「ぜひ経営者を継続的に雇用して欲しい」と申し出るほど経営者の信頼が厚かったり…など、薬局にはそれぞれの強みがあるはずです。売却交渉の際はぜひそこをアピールし、魅力アップにつなげたいですね。
少子高齢化や薬剤師不足など、業界環境が変化する中で、「薬局のM&A」という選択肢が注目されています。ただし、売却や事業承継は専門的な知識が必要であり、自分一人で判断するのは難しいことも。まずは専門のコンサルタントに相談し、自分の薬局にとって最適な道を見つけることが重要です。
このサイトでは、薬局に特化したおすすめのM&Aコンサル会社3選を紹介しています。早めに動き、将来の選択肢が広げるためにも、ぜひチェックしてみてください。
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仲介会社3選をみる
着手金は、M&A仲介会社に業務を依頼する際に最初に支払う前払いの手数料です。この費用は、企業価値の調査、候補企業の選定、各種資料の作成など、初期の調査や準備作業に充てられます。なお、M&Aが成約しなかった場合でも返金されないため、近年は着手金を無料にする仲介会社も増えています。一般的な相場は50〜200万円程度とされています。
月額報酬(リテイナーフィー)は、M&Aプロセス中に毎月固定で支払う手数料です。これは、弁護士や税理士に支払う顧問料に似た性質を持ち、継続的なサポートを受けるための費用として設定されています。固定額であるため支払いが明確ですが、交渉が長期化すると費用負担が増大するリスクもあります。一般的には30〜200万円程度が目安とされていますが、月額報酬を設定しない仲介会社も存在します。
中間金は、M&Aプロセスの中盤、具体的には基本合意書の締結時に支払われる手数料です。基本合意書が締結されると、両社の意向が固まり、交渉を独占的に進める段階に入ります。この段階で発生する費用が中間金であり、成約時には中間金が成功報酬から差し引かれることが一般的です。ただし、交渉が頓挫した場合の返金条件は仲介会社ごとに異なるため、契約前に内容を十分に確認する必要があります。
相談料は、正式なM&A依頼前の初回相談や簡易な企業価値評価などの際に発生する費用です。M&A候補企業の基本情報の提供などを受ける際に支払われることが多いですが、近年では何度相談しても無料としている仲介会社が増え、利用者の負担軽減が図られています。一般的な相場は数千円から1万円程度とされています。
成果報酬は、M&Aが最終的に成約し、すべての譲渡手続きが完了した際に支払われる手数料です。多くの仲介会社は、取引金額に応じて成果報酬額を計算するレーマン方式を採用しており、取引額が大きくなるほど報酬も増加します。なお、特に小規模案件の場合は、最低報酬金額が設定されていることがあり、これが実質的な費用負担となる場合もあります。
その他費用には、交通費や外部専門家との連携にかかる費用、その他の業務遂行に必要な経費が含まれます。これらは主要な手数料以外に発生するものであり、仲介会社によってはホームページ上に明示されていない場合もあるため、契約前に詳細を確認することが重要です。
多くのM&A仲介会社では、成果報酬の算出にレーマン方式を採用しています。この方式は、取引金額をいくつかの段階に分け、各段階ごとに一定の手数料率を乗じることで報酬額を算出する仕組みです。例えば、以下の表は一般的な手数料率の設定例を示しています。
手数料算出基準額 | 手数料率 |
---|---|
5億円以下 | 5% |
5億円超~10億円以下 | 4% |
10億円超~50億円以下 | 3% |
50億円超~100億円以下 | 2% |
100億円超 | 1% |
実際の計算例として、手数料算出基準額が20億円の場合を考えます。最初の5億円に対して5%の手数料が適用されるため、5億円×5%で2,500万円となります。次に、5億円超から10億円までの5億円には4%が適用され、5億円×4%で2,000万円です。さらに、10億円超から20億円までの10億円には3%が乗じられ、10億円×3%で3,000万円となります。これらを合計すると、2,500万円+2,000万円+3,000万円=7,500万円となり、これが成果報酬額となります。
レーマン方式による手数料計算には、注意すべき点がいくつかあります。まず、手数料算出基準額はM&A仲介会社によって異なります。ある会社は移動総資産(株式価値+負債総額)を基準とするのに対し、別の会社では実際の譲渡価格を基準とする場合があります。例えば、総資産が20億円、負債が15億円、株式価値が5億円の企業が5億円で売買契約を締結した場合、移動総資産ベースで計算すると7,500万円の手数料となりますが、譲渡価格ベースの場合は2,500万円に留まることになります。こうした違いは、最終的な費用負担に大きな影響を与えるため、契約前に十分な確認が必要です。
また、M&Aの手法によっても成果報酬の算出方法は変動します。株式譲渡の場合は、企業全体の価値を総合的に評価して譲渡価格が決定されるのに対し、事業譲渡では譲渡対象となる資産を個別に評価するため、最終的なM&A価格が異なることがあります。この違いは、レーマン方式による手数料計算にも影響を及ぼし、同一企業であっても手数料の金額に差が生じる可能性があります。
M&Aにおける手数料は、仲介会社やブローカーに依頼する際の重要な費用ですが、過去には悪質なブローカーによって明らかに相場を上回る法外な手数料を請求された事例が存在します。このようなケースでは、事前に市場の平均的な手数料相場を十分に調査し、複数の仲介会社から見積もりを取得することが有効です。適正な相場を把握しておくことで、過大な費用請求を未然に防ぎ、交渉の際に不当な条件を拒否する判断材料となります。
また、契約書の内容を十分に確認し、不明な点や疑問があれば専門家に相談するなど、慎重な対応が求められます。譲渡薬局の応需枚数が少ない場合、大手仲介会社や金融機関が提示する最低下限報酬が実情に合わないこともあるため、特に注意が必要です。
M&Aの案件では、知り合いや顧問税理士、会計士などの士業の専門家から仲介会社が斡旋されるケースが見受けられます。しかし、この斡旋においては、紹介者に手数料が支払われ、その分が最終的な手数料に上乗せされるリスクがあります。
こうした状況では、本来の市場相場以上の料金設定となる可能性があるため、斡旋を受ける際にも市場の一般的な手数料水準を十分に把握し、提示された料金が適正かどうかを慎重に判断することが重要です。複数の情報源や実績ある専門家の意見を参考にすることで、不自然な手数料設定に気づき、より信頼できる仲介会社を選ぶ手助けとなります。
一部のM&A仲介会社は、手数料収入を主要な利益源とするあまり、十分なサポートや適正なアドバイスを提供せず、依頼者に不利益な条件で契約を進めるケースが散見されます。特に、手数料無料と謳う業者の場合、裏では買手側のアドバイザー業務を重視しており、結果として売り手側の利益が軽視されるリスクが存在します。
また、手数料本位の仲介会社は、案件の規模や企業の財務状況にかかわらず一定の手数料を要求するため、低い譲渡金額の場合でも十分な利益が得られない可能性があります。
こうした業者を避けるためには、各社の実績や顧客の口コミ、過去の事例をしっかりと比較検討し、透明性の高い料金体系を提示しているかどうかを確認することが不可欠です。信頼性の高い仲介会社を選ぶことで、依頼者の利益を最大限に守ることができると言えるでしょう。
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成約まで最短1週間の実績もあり、基本的にプロにお任せしたい方には特におすすめと言えます。
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地域医療貢献の想いを次世代へ継ぐ売却が叶います。
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