事業継承とは、その名の通り「事業における権利や義務、財産などを引き継ぐ」こと。事業承継と同じ言葉だと思われがちですが、実は事業承継が主に「事業の理念や地位、仕事、経営方針など」を受け継ぐのに対し、継承は会社をそのまま渡すという形になります。
これは一般的に子どもや配偶者、親族など身内を後継者に選ぶ場合にも当てはまりますが、第三者に受け継ぐ時にはどうすれば良いのでしょうか?基本的な知識を見ていきましょう。
経営者が年齢的な限界を感じたり、なかなか経営が難しいと思ったりして薬局を誰かに受け継ぎたいと思った場合、第三者(買い手)への譲渡として「事業譲渡」という方法があります。これは選別した事業の一部のみも受け継げるので、内容を柔軟に考えられるのが魅力です。
しかし、薬局の場合は専門性が高いがゆえに難しい面も。ここでは初めて事業譲渡を行う時にはどうすれば良いのかについて、代表的なもうひとつのM&A方法である株式譲渡との違いも含め解説しています。
個人経営の調剤薬局の場合、多くは非上場のためなかなか自分の店舗の価値が分かりにくい面はあると思います。では、一般的に薬局を売る際にはどの程度の金額が設定されるものなのでしょうか?
ここでは全体的な売却相場をお知らせするとともに、評価基準や魅力を上げるポイントなどについても詳しく見ていきましょう。
薬局を売却する際には、様々な手続きが必要となります。基本的には仲介業者に相談することが多いと思いますが、やはり経営者自身が把握しておかなければスムーズにいかない面も。
そこでここでは、薬局を売却する際の大まかな流れについて、コンサルティング会社から受けられるアドバイス等もふまえ詳しく見ていきましょう。
薬局を売却する際、売り手と買い手には様々な税金が発生します。売り手には所得税、法人税、譲渡所得税が、買い手には不動産取得税や印紙税が適用されるため、これらの税金に関する適切な知識と準備が必要です。
ここでは、薬局売却において売り手と買い手が直面する税金の種類、計算方法、および節税対策を解説し、売却における財務的リスクを抑える方法をまとめています。
近年、薬局業界でM&Aが増加しています。政府の医療費削減や薬価引き下げにより、小規模薬局が経営の厳しさに直面し、M&Aで経営基盤を強化する動きが広がっています。譲渡側には経営の安定や後継者問題の解決といったメリットがあり、買い手側はスケールメリットや人材確保が可能です。ただし、経営権喪失や経営統合リスクなどのデメリットもあるため、従業員や顧客のケアが重要です。
薬局業界が直面する少子高齢化や後継者不足といった課題の中で、M&Aは事業の存続や成長を可能にする重要な手段です。こちらの記事では、調剤薬局業界の現状やM&Aの必要性を解説するとともに、個人でM&Aを成功させるための具体的なステップや注意点、メリット・デメリット、そして成功事例までを網羅しています。
薬局事業譲渡は、店舗資産や従業員、顧客基盤などを他の法人または個人に引き継ぐプロセスであり、経営者のリタイアや事業の発展を実現するための重要な選択肢です。本記事では、事業譲渡の基本知識、株式譲渡との違い、メリット・デメリット、具体的な手続きや注意点を詳しく解説しています。
調剤薬局業界では、少子高齢化や診療報酬改定を背景にM&Aが活発化しています。市場規模は拡大する一方、大手チェーンによる買収が進み、地域密着型の薬局もM&Aを検討するケースが増加。調剤報酬改定や薬剤師不足もM&Aの動きを後押ししています。
大手企業は買収を通じて効率化やシェア拡大を図る一方、薬局側には経営継続や資金確保のメリットがあります。今後も業界再編が進むと予想され、経営戦略としてのM&Aの重要性が高まっています。
薬局M&Aは、企業の合併・買収を通じて市場再編や経営基盤の強化を図る手法であり、少子高齢化や後継者問題が背景にあります。M&Aを成功させるためには、税務・財務・法務・人事・ITデューデリジェンスが不可欠であり、リスク管理を徹底する必要があります。
特に買収後の統合プロセス(PMI)の計画が重要です。市場規模は拡大傾向にあり、大手企業のM&Aが進む中、経営戦略としてのM&Aの活用が今後も注目されるでしょう。
薬局M&Aにおける
デューデリジェンスの重要性と
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薬局の売却は経営者だけでなく従業員にも大きな影響を与えます。売却方法には事業譲渡と株式譲渡があり、前者では従業員の雇用契約が新たに結ばれる必要がある一方、後者では契約が継続されることが一般的です。売却後の雇用維持や待遇変更の可能性があるため、事前に買い手と交渉し、従業員の不安を軽減することが重要です。
適切な情報共有やサポートを行うことで、離職リスクを抑え、円滑な事業移行を実現できます。
M&Aは活動を始めるタイミングが重要です。もしも経営状況が悪化してからM&Aを行っても、企業としての魅力がなくなり適正価格で譲渡できなくなります。また、買収監査で問題が発生した場合なども、M&Aに失敗する原因となるため注意が必要です。
事業譲渡とは、薬局の設備や在庫、顧客リストなど、事業資産を個別に売却する方法です。この方法では、譲渡する資産や負債を選択できる点が特徴です。そのため、不採算部門や不要な負債を買い手に引き継がせる必要がなく、売り手にとって柔軟性の高い手法といえます。
一方で、事業譲渡は手続きが複雑になりやすいというデメリットがあります。個々の資産について譲渡契約を結ぶ必要があるため、売却の準備や交渉に多くの時間を要します。また、買い手が事業譲渡後の運営に不安を抱える場合もあり、譲渡内容について慎重に説明し、信頼を得ることが求められます。
事業譲渡は、薬局の経営資源を選別的に移転したい場合や、特定の資産や事業だけを売却したい場合に適した方法といえるでしょう。
株式譲渡とは、法人化された薬局の株式を売却する方法で、会社全体を買い手に譲渡する形になります。この方法では、売り手は法人の全資産と負債を一括して移転することができるため、手続きが比較的シンプルです。また、買い手にとっても、薬局の事業をそのままの形で引き継ぐことが可能なため、売却後の運営がスムーズに進む利点があります。
しかし、株式譲渡にはリスクも伴います。特に、法人が抱える負債や契約の内容など、全てが買い手に引き継がれるため、買い手にとっては事前の調査が重要です。また、売り手にとっては、法人全体の価値が厳しく査定されることから、期待していた売却価格に達しない場合もあります。
株式譲渡は、法人化された薬局の事業を一括して売却したい場合に向いている手法です。ただし、売却に先立って、会社の財務状況や契約内容を整理し、買い手に信頼される状態を整えることが求められます。
薬局を売却する際には、事業譲渡と株式譲渡のどちらが自分に合っているかを見極める必要があります。事業譲渡は資産や負債を選択的に譲渡できる点がメリットであり、不必要な資産や負債を整理したい場合に有効です。一方、株式譲渡は、法人全体を一括して譲渡するため、手続きが比較的シンプルで、スムーズな事業継承が期待できます。
選択肢を判断する際には、自社の財務状況や事業規模、売却の目的を明確にすることが大切です。また、売却方法によって税務処理や法的な手続きが異なるため、専門家のアドバイスを受けながら進めることが成功への鍵となります。適切な売却方法を選び、スムーズな手続きを目指しましょう。
薬局売却を成功させるためには、全体の流れを把握し、適切な手続きを進めることが重要です。この章では、薬局売却の各ステップを順を追って詳しく解説します。
薬局売却を進める際には、まず準備段階が必要です。この段階では、売却の目的や目標を明確にし、薬局の現状を把握することが重要です。具体的には、財務諸表や経営データを整理し、薬局が持つ資産や負債の状況を明確にします。
また、売却価格を決定するための「事業価値の評価」を行うことも欠かせません。この評価では、売上や利益、立地条件、薬剤師の在籍状況などが考慮されます。必要に応じてM&Aの専門家やコンサルタントに相談し、適正な評価額を算出することが、後の交渉をスムーズに進めるカギとなります。
準備段階でしっかりとした基盤を作ることで、売却の成功率が大きく向上します。
準備が整ったら、次のステップとして買い手を選定します。適切な買い手を見つけることは、薬局売却の成功において極めて重要な要素です。
まず、M&A仲介会社や専門家のネットワークを活用して、複数の買い手候補をリストアップします。この際、候補者が薬局経営の経験を持っているか、財務的な余裕があるかなど、買い手としての適性を慎重に確認します。
候補者との初期交渉では、売却条件や相手の意向を把握し、信頼関係を構築することが大切です。この段階で、相手に薬局の魅力をしっかり伝えることが、交渉を有利に進めるポイントになります。
買い手が決まったら、次に基本合意書を締結します。この書類は、売却条件やスケジュール、秘密保持に関する事項を記載したもので、売却プロセスの方向性を明確にする役割を果たします。
基本合意書は法的拘束力が限定的であるため、柔軟な調整が可能です。ただし、後々のトラブルを避けるためにも、具体的かつ詳細に条件を記載することが求められます。専門家のアドバイスを受けながら作成すると安心です。
基本合意書が締結されると、買い手によるデューデリジェンス(詳細調査)が始まります。このプロセスでは、財務、法務、業務など、多角的な視点から薬局の状況が調査されます。
デューデリジェンスの目的は、薬局の実態を正確に把握し、リスクを最小化することです。財務書類や契約内容、在庫の状況などが詳しく確認され、場合によっては交渉条件の見直しが行われることもあります。
売り手としては、調査に対して透明性を持って対応し、必要な資料を迅速に提供することが信頼を得るポイントです。
デューデリジェンスが完了し、条件が最終的に合意されると、売却の最終契約を締結します。この契約書には、売却価格、支払い条件、引き継ぎ内容などが明記されます。
契約締結前には、内容を慎重に確認することが不可欠です。特に、リスク回避のための条項や支払い条件については、専門家の助言を受けることが推奨されます。このステップをクリアすることで、売却は大きく前進します。
最後のステップはクロージング、つまり実際の事業引き渡しです。このプロセスでは、許認可の名義変更や従業員、取引先への通知を行い、運営の移行をスムーズに進めます。
引き渡しに必要な手続きは、薬局の規模や条件によって異なりますが、細かな点まで確認し、買い手とのコミュニケーションを密に取ることが重要です。クロージングが完了すると、売却プロセスは正式に終了となります。
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